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【発達ハック】大人の発達障害かも?
という人のためのライフハック集

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『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』著者・姫野圭
を一部抜粋している記事です。本書の内容が詳しくわかるようになっています。

苦手なことは、「工夫=ハック」で乗り越えよう。

2019年3月31日という年度末の日、拙著『私たちは生きづらさを抱えている││発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス) と『発達障害グレーゾーン』(扶桑社)の合同イベント、題して「生きづらい けど生きのびたい!『発達ハック』コンテスト」をLOFT9 Shibuyaで開催し ました。
登壇者は私のほか、「発達障害BAR The BRATs」マスターの光武克さん、株式会社LITALICOの鈴木悠平さん、発達障害グレーゾーンの会「ぐれ会!」を運営する OMgray 事務局のオムさん。
4名の登壇者全員が、発達障害の診断が下りている、あるいはその傾向があるというメンバーでした。
実は私も、2018年の春に発達障害の診断が下りました。
発達障害には、主に、

  • 衝動性や不注意の多い (注意欠如・多動性障害)
  • コミュニケーションに困難が生じ、独特なこだわりを持ち反復行動を好む(自閉症スペクトラム)
  • 知的な問題はないのに読み書きや計算が難しい(限局性学習障害)

3つがあります(そのほか、チック症や吃音症も発達障害の一種に含まれます)。
これらは生まれつきの脳の特性で、得意なことと苦手なことの差が激しいという特徴があります。

それぞれ特性の濃度は違い、ASDが濃い人もいれば、ADHDが濃い人もいるなど、100人いたら100とおりの特性があります。

私の場合は、繰り上がり・繰り下がりのある暗算や%の計算がぱっとできない算数のSLDが最も顕著で、その次に不注意優勢の特性があり、ASDは傾向がある程度です。このように、ADHDだけ、というのはむしろ少なく、2種類、もしくは3種類の特性が混じり合っていることがほとんどです。
そのため、「どんなことが苦手か」というのも100とおり、まさに人それぞれなのです。

この本、は「みんなで作ったハックの本」です

冒頭でお話しした「発達ハック」のイベントは、事前にTwitterで、発達障害当事者や傾向がある方に、「苦手なことをどうやって工夫して乗り越えているのか」というアイデアを募集し、それらをコンテスト形式で紹介したもので、多くの方にご応募、そしてご来場いただき、大盛況のうちに終わりました。
「発達ハック」=「苦手なことを工夫で乗り越えること」の応募数も膨大で、まとめるのに一苦労したぐらいでした(この「発達ハック」の名づけ親は鈴木悠平さんです)。
前著『発達障害グレーゾーン』の第6章「グレさんたちが見つけた『生き抜く方法』」(※グレさん......グレーゾーンの人のことを指す造語)でも、ライフハックをいくつか紹介しています。

たとえば、
書類のケアレスミス対策......上司や同僚にダブルチェックを頼む
電話対応をスムーズにする方法......目を閉じて電話をする(余計な情報が目に入らず気が散らない)などです。

私自身も、疲れているときはスケジュール管理のミスが多く、取材をすっかり忘れてすっぽかしてしまったり、待ち合わせの時間の時と午後時を間違えてしまったこともあります。
しかし、あるとき可視化するとミスが減ることに気づき、デスクの横に書き込みできる巨大なカレンダーを貼り(スケジュール帳だと、いちいち開かないといけないので)、そこにスケジュールを書き込むようにしたら、ミスが減りました。これもちょっとした「発達ハック」です。

「発達ハック」のイベントで集まったハックも、いろんな特性を持つ方が自分なりに編み出したものばかりで、発達障害ではない人にも役立つものも少なくなかったです。
イベントのあとで、前著の担当編集のAさんが、「このイベントごと冊の本にできそうなほど、充実した内容でしたね」と感想を漏らすほどでした。
今回、この本をつくるにあたっては、「発達ハック」のイベント時に採用されたハックをはじめ、新たに当事者のみなさんに、どんな工夫をして生きやすく過ごしているのか、ウェブと紙によるアンケートを実施し、126名の方から回答を得ました。
前著にもハックを少しだけ入れましたが、今回はさらにパワーアップしたハック集となっているはずです。
ほかにも発達障害の方のためのライフハック本はありますが、一人の当事者が生み出したものや、精神科の医師や心理士、カウンセラーなどの専門家が導き出したハックがほとんどだと思います。
しかし、今回のこの本は、たくさんの当事者の生の声が詰まった「みんなでつくったハック集」だと自信を持って言えます。

人によって得手不得手は違うし、誰だってミスをします。これだけ多くの生のハックが集まれば、きっとその中からあなたに合ったハックを見つけられると思います。
そして、そのハックを実践することで、日々のミスや困りごとが減るだけでなく、できないことがある自分を責めたり、卑屈になってしまうのを防止効果も期待できます。

発達障害の人もそうでない人も、ちょっとした工夫をすることで、より快適な暮らしを送れますように、そんな願いを込めて書きました。
ぜひ、あなたも気になったハックを取り入れて前に進んでいただければと思います。

「仕事」をやりやすくするハック

タスク管理が苦手。 納期に間に合わなかったり、 書類の提出がギリギリになったりしてしまう。

発達ハック:タスクは付箋に書いて管理!

やるべきタスクを付箋に書き出し(1枚1タスク!)、デスクの横やコルクボードに貼っておきます。
そのとき、作業はできるだけ細分化して、手順を書いた「作業メモ」の紙も手元に置いておくと安心!「1日の目標」を書いた付箋を、パソコンの画面の横に貼っておくのもおすすめです。
やるべき作業の順番を可視化することで混乱を防げます。
1つ作業をこなすたびに付箋を捨てたり、タスクメモや作業メモにチェックマーク、または線を入れて消したりすることで、達成感もゲット!

「日常生活」の「困った!」を減らすハック

片づけられず、いつも家の中が散らかっている。急にお客さんなんて 呼べない......。

発達ハック:いくつか空き箱を用意して、中に放り込もう

空き箱を2〜3個用意し、とりあえず一時的に箱の中にモノを入れます(何も考えなくてOK)。
その後、しばらくしたら、箱の中のモノを眺めて、本来しまうべき場所(棚の中や引き出しの中など)にしまいます。
数日間様子を見てみて、「これは明らかに使わないな」と感じたモノは、思い切って捨ててしまいます。
どこから手をつけていいのかわからない状態でも、「とりあえず一時 保管用の箱」をつくっておくと、見た目もスッキリ!
そして、あえて時間を置くことで、それは必要なモノなのか、不要な モノなのか、たまに使うモノなのかと、落ち着いて考えられるようになります。

「人間関係」をラクにするハック

親との関係が悪く、人格や能力をすべて否定されることもあってつらい。
結局、親の言いなりになってしまう......。

発達ハック:物理的に距離を置こう

物理的に距離を置くために、たとえば家を出て一人暮らしをはじめてもいいかも。そうすると、嫌な思いをすることを減らせます。
また、親の意見は一つのものの見方にすぎず、それを拒否する権利が自分にはあるのだと、自分自身に言い聞かせるのも効果ありです。
私自身、実家を出たら、過干渉気味で疲弊することもあった親との関係が少し良くなりました。
親の意見がすべて正しいとは限らないので、身近な人や信頼できる人の意見も聞いてみるようにしましょう。

「自分の体調」とうまくつき合うハック

体力がなくて疲れやすい。仕事から帰宅したらソファの上で動けなくなるし、
遊びに行っても途中で疲れちゃって最後まで楽しめない。

発達ハック:「がんばれない日」を把握しておこう

日頃から、睡眠時間やストレスの度合い、集中力の度合いなどをアプリで管理して、「自分ががんばれない日」を把握しておきます。たとえば、「月曜日はどんなに睡眠が取れていても眠い」
「毎日この時間帯は集中力が切れる」など。それらを考慮したうえで仕事のスケジュールを立てると、がんばれないときがあっても、それを見越して「準備しておくこと」ができるようになります。

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発達障害の人が日々感じているストレスを減らせる「#発達ハック」を多数紹介!

「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック

「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック

著 |姫野桂 1430円(税込)

ページ数:176ページ
発売日:2020/4/17
ISBN:978-4-7993-2600-8

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著者紹介
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)。趣味はサウナと読書、飲酒。

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発達障害の人が日々感じているストレスを減らせる「#発達ハック」を多数紹介!
「なんでこんな簡単なことができないんだろう」と自分を責めていませんか?
できないこと、苦手なことは、無理をせずに、「ちいさな工夫」(#発達ハック)で乗り越えましょう!

本書では、発達障害の方を対象に、「みなさんの #発達ハック を教えてください!」というWEBアンケートを実施、126名もの方々から回答を得ました。


パワポ資料の作成をつい先延ばしに まず「ファイル名をつけて保存」だけでOK!
人に相談されやすく、その内容に引っ張られやすい返事はすぐにせず、翌日にしよう!

これらの回答を、「仕事」「日常生活」「人間関係」「体調管理」の4ジャンルに分類し、発達障害の当事者でもある著者のワンポイント解説をつけて書籍化しました。
ご自分に合いそうな「#発達ハック」が見つかったら、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。きっと、毎日が好転することでしょう。

巻末には、竹熊健太郎さんと鈴木大介さんによる豪華対談を収録!

目次とキーワード
第1章
─ 「苦手」を見つけて受け入れよう
第2章
─ 「仕事」をやりやすくするハック
第3章
─ 「日常生活」の「困った!」を減らすハック
第4章
─ 「人間関係」をラクにするハック
第5章
─ 「自分の体調」とうまくつき合うハック
【巻末スペシャル対談】
─ 年齢を重ねて振り返る「生きづらさ」とハック 竹熊健太郎x鈴木大介