HSP診断
簡単セルフチェック
HSP(Highly Sensitive Person:とても敏感な人)は、アメリカの心理学者でセラピストのエレイン・アーロンによって1996年に提唱されました。
病気ではなく、「とても敏感」という生まれ持った気質をあらわしており、世の中のおよそ5人に1人がHSPだといわれています。
あなたはどれぐらい敏感でしょう?
『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』を元にした、以下の10項目の質問に答えてHSP診断をしてみましょう。
01. 大きな音・強い臭い・鋭い光をひどく不快に思うことがある
02. どんな失敗が起こりうるか予測して対応策を考えることに、毎日かなりの労力を費やしている
03. テレビなどで暴力シーンをみると、その後何日も影響されてしまう
04. 涙もろい
05. 他人と2、3時間一緒にいると、疲れ果ててしまう
06. 誰かの怒りを感じると、それが自分に向けられたものではなくてもストレスになる
07. 勢いで行動せず、よく考えてから動くほうだ
08. 社交の場に行くと疲れる
09. 友人や知り合いが突然やってくるサプライズ訪問が好きだ
10. 自分のまわりで何が起きていようと影響されずに、エネルギッシュでいられる
HSPが抱えやすい心の問題と
その改善方法とは?
この記事は、『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』(イルセ・サン 著)から著者の許諾を得て、内容を一部抜粋・要約してご紹介します。今回は「罪悪感」「恐怖心」などといった、HSPが抱えやすい心の問題に焦点をあて、その改善方法を提案します。
敏感な人の多くは、自己評価が低いのです。HSPの人たちは、自分とはまったく 異なるタイプの行動が評価される文化で生きてきました。HSPのなかには、ほかの 人たちから期待される通りの元気なキャラクターでいようと苦心し続け、本来のマイ ペースでおとなしい自分の性格を受け入れられたのは、年金生活に入ってから、などという人もいます。
HSPが抱えやすい心の問題
1.自分自身に高度な要求をしてしまう
HSPは行動のルールを自分に課したり、自分自身がどうあるべきかについて、高い基準を設ける傾向があります。
たとえば以下のことについて、高い基準を定めます。
・親切心
・もてなしの心
・気遣い
・相手への注意
・思慮深さ
・責任
・他の人への関心
自分に高い基準を設けてしまうたいていの要因は、自尊心が低いことにあります。
高い基準は、自尊心を補うために設けたもので、愛される価値が自分にあると信じる気持ちが弱ければ弱いほど、それを取り返すための戦略をとるのです。
高い基準を設けてしまっているのならその基準を下げることが非常に重要です。
とはいっても、これまでの人生で、自尊心の低さを補うためにずっと代償を払ってきたのなら、それをやめるのは恐ろしいことに感じるでしょう。
でも、少しずつ慣れていけばいいのです。もし、これまで誰かに助けを求められ、それに応じてきたのなら、ときには断ることも覚えましょう。第一歩として、努力の度合いをほんの少し抑えるようにしてもいいでしょう。
HSPが抱えやすい心の問題
2.罪悪感と羞恥心に苛まれてしまう
<罪悪感>
罪悪感と力は表裏一体です。罪悪感を負う人は、そのことに対して力を持っているとことです。
罪悪感が、自分の影響力に比例しているのであれば、それは現実に即した感情です。
一方、自分の力を及ぼせないことに対しても、罪の意識を感じるのであれば、その罪悪感は行きすぎています。
ゼロでないにしても、限られた影響力しか持たない場合も同じです。
もしも、つい今しがた自分の言ったことに罪悪感を抱くのなら、相手に対する自分自身の権力や存在意義を課題評価しているということになります。
自分に罪があると感じたときに、罪悪感の度合いが適切なのか、度を越しているかを調べる方法を紹介します。たとえば、あなたの姉か妹が鬱だとします。彼女の心の健康に影響を及ぼすあらゆる要素をリストアップし、あなたが考える各要素の影響力の大きさをパーセンテージで表してください。たとえば、仕事24%、社会的スキルの欠如13%、経済状況の悪さ10%、健康状態の悪さ11%、不幸な子ども時代12%といった風に。
1.仕事 24%
2.社会的スキルの欠如 13%
3.経済状況の悪さ 10%
4.健康状態の悪さ 11%
5.不幸な子ども時代 12%
6.夫婦関係 25%
7.私(彼女の姉または妹) 5%
こういうグラフをつくってみると「全部自分のせいだ」と思っていた人の意識が、「私の責任の度合いは5%」に変わることで、ほっとする場合もあります。
人によっては、自分は実際には状況を変えるだけの力を持たないということを目の当たりにするのは、やや恐ろしく思えることもあるでしょう。
<羞恥心>
罪悪感は”自分がやってしまったこと”に対して抱くものですが、羞恥心というのは”自分自身”に対して抱くものです。
羞恥心は、自分に根本的な欠陥があるという感情であり、それはなかなか口に出せないものです。恥じていることを恥じることが多く、羞恥心を抱いていることを言わない傾向があります。
HSPが心を開く勇気を持つ1つの方法は、ほかの敏感な人の話を聞くことです。
私が開くHSP向けの講座で、1人が失敗談をオープンに話し出すと、まわりもつられてオープンになるのを目の当たりにしてきました。
きっと、参加者たちは講座から帰宅し、いつもは心にしまっていたことを言葉に表しはじめたでしょう。それは羞恥心から脱するよい道筋です。
HSPが抱えやすい心の問題
3.恐怖心を感じ、憂鬱になりやすい
敏感な人の多くは、恐怖心と闘っています。
HSPである私たちは、想像力が豊かで、独創的に物事を思い浮かべる能力に長けています。
新しい可能性を考えるのが得意なために、物事が悪い方向に行く可能性も見えてしまうのです。
恐怖の程度は、ちょっとした不安を引き起こすものから、激しいパニックを伴うものまでさまざまです。
問題が完全に解決されることは稀ですが、過度の恐怖や、不幸のどん底にいるような気分を感じる人は認知療法を受けてみるのもいいでしょう。
また、疲れているときには、よりネガティブに考えてしまう傾向があります。
疲れというのは悲しみが形を変えたもの。眠っても、悲しいことはなくなりません。
気分が重いときには、ベッドに入るよりも、小さな成功体験をつくってみてください。郵便ポストの郵便物をとりにいくだけでもいいかもしれません。
自分が何をしたいのかわからなくても、とりあえず何かしてみることが大切です。
『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』の巻末には「HSPのためのアイデアリスト」を掲載しています。
楽しい活動は活力になります。ぜひ参考にしてみてください。
HSPが抱えやすい心の問題
4.怒りをうまく放出できない
怒りは強烈なエネルギーです。
HSPの人が怒ってレッド・ゾーンに入ると、すぐに白黒つけようとして、ほかの人の立場になって考える能力を一時的に失ってしまいます。
これはHSPの人たちが自分でも好きになれない特徴です。
ちょっとした喧嘩は人によっては新鮮に思えるかもしれませんが、HSPの繊細な神経のバランスを乱される危険性があります。
そしてその後、バランスを整えるのに、長い時間がかかります。
HSPは相手の感情まで敏感に察知するので、自分で誰かを傷つけてしまった場合、その人の痛みを無視するのが難しく、自分自身も傷つきます。
感受性が強い人は攻撃に弱いと思われがちですが、「喧嘩したい」という感情を持<1>1>ち合わせておらず、誠実で思慮深いために諍いが苦手なだけなのです。怒りと怒りのぶつかり合いによる刺激は無気力を引き起こすこともあるので、無理に相手に怒りをぶつける必要もありません。
HSPがそのような場面に直面したら、一旦諍いから逃れて自分の内面によい語りかけをし、あなた自身と相手の両方に愛情を示して、心を落ちかせてください。
不快なことが起きた場合には、「相手を叱る」と「心の中で自分を責める」の中間の行動をとるべきです。
中間の行動とは、”自分自身について言及すること”。
・「そんな目で見られると、お腹が痛くなっちゃう。」
・「言葉に気をつけてくれない?」
・「ピクルスよりも、サラダのほうがいいな。」
・「2人で決めた約束を守ることが、私には大事なの。」
自分が何を好きじゃないのか言うなど、自分自身のことをはっきり話せば話すほど、自分が何を言いたいのかが明確になります。
今回は敏感な人が抱えやすいとされる心の問題とその対処法について、『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』から一部を抜粋・要約してご紹介しました。 本書では、Highly Sensitive Person(HSP)と呼ばれる「とても敏感な人たち」について、さまざまな特徴やその敏感さを武器に強く生き抜くヒントが満載です。 自分が、あるいは周りの人が「とても敏感な人かもしれない」と感じたとき、愛すべき能力として敏感さを受け止め、可能性を後押しする一助としてこの本をお役立ていただければ幸いです。
”敏感さを武器”に
生きづらい世の中を生き抜く
ヒントが満載
鈍感な世界に生きる敏感な人たち
イルセ・サン(著)
枇谷 玲子(訳)
定価:1650円(税込)
なぜこんなに相手の表情や、音・においが”気になってしかたがない”のか?あなたは、「神経質」でも、「忍耐力がない」わけでもありません。敏感さは、愛すべき「能力」です。
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あなたの”敏感さ”は実はトラウマのせいかもしれません。
発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体
みき いちたろう(著)
定価:1320円(税込)
「緊張しやすい」「人の気持ちを考えすぎる」「人と打ち解けられない」こんな生きづらさの原因は、子供のころに家庭や学校などで負った慢性的なストレス(発達性トラウマ)かもしれません。
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