超訳 自省録

超訳 自省録

著 | マルクス・アウレリウス
訳 | 佐藤けんいち
1700円 (税抜)

発売日:2019/4/27
ISBN:978-4-7993-2469-1

Product description 商品説明

 紀元2世紀に生きたローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(紀元121?180年)は、激務のかたわら就寝前に瞑想し、その記録を続けていた。それが『自省録』だ。

 マルクス・アウレリウスは、第16代のローマ皇帝として「五賢帝」の最後に位置づけられている。五賢帝とは、ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウスと続く5人の皇帝のことだ。いずれも内政においては善政をほどこし、外政においても地中海帝国としてのローマ帝国の最盛期を実現した。

 だが、五賢帝の最後となったマルクス・アウレリウスが39歳で即位したとき、すでにローマ帝国は全盛期を過ぎており、衰退の影が見え始めていたのである。洪水や大地震などのあいつぐ天災、戦地から兵士たちが持ち帰った感染症の蔓延(天然痘だとされている)、東方では大国パルティア王国との戦争、北方からの蛮族ゲルマン人の侵攻、そしてシリア属州においては信頼していた将軍の反乱など、さまざまな問題が押し寄せてきたのであった。

 帝国を北方から脅かすゲルマン人との戦いの前線に設置されたドナウ河畔の陣中でも彼は『自省録』を書き続けていたが、過酷な環境においての激務で神経をすり減らし、食も細っていたため、ついに陣中で病没する。享年59歳であった。

『自省録』は読者をまったく想定していない私的な文書である。しかも、このギリシア語のタイトルさえ自分自身でつけたものかどうかも不明だ。全12巻の構成じたい、いつそうなったのかも不明だ。そもそも、なぜこの記録ノートが廃棄されることなく筆写され、伝承されてきたのかも、ほんとうのところはよくわかっていない。

『自省録』の中には、日本人にもなじみ深い内容が語られている。「すべてが瞬間ごとに変化していること」(=無常)や、「すべてがつながっていること」(=縁起)を強調したブッダの思想にも通じるものがあり、「いま、ここ」に集中するべきと説く禅仏教や上座仏教がルーツの「マインドフルネス」を連想させるものがある。老子や荘子などの老荘思想が説く「タオ」(=道)にも通じる自然観がある。しかも、21世紀の現在にも通じる宇宙観がある。「仕方ない」ということばに体現された、きわめて日本的な運命受容と肯定の思想を見いだすこともできる。「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という『葉隠』の思想を想起する人もいるだろう。

 著名な愛読者としては、南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領や、米国のビル・クリントン元大統領、トランプ政権の国防長官だったマティス海兵隊退役大将(2018年12月末に解任)などがいる。
 南アフリカで人種差別のアパルトヘイトと戦い投獄されたマンデラ氏は、獄中に差し入れられた『自省録』を繰り返し熟読したのだという。27年間にも及んだ獄中生活から解放後に南アフリカの大統領に選出された際には、怒りではなく和解こそが重要だと理解したうえで、人種間の壁を越えた国民和解に努めた人であった。クリントン元大統領は、大統領退任後には1年に1回はかならず読み直しているとインタビューで語っている。マティス米海兵隊退役大将は、「マッドドッグ」や「戦う修道士」という異名をもつ人だが、ペルシア湾やイラク、アフガニスタンでの任務の際には、つねに持参していたという。

Index 目次

Ⅰ「いま」を生きよ
 1 時は過ぎ去り二度と戻ってこない
 2 人生最後の仕事であるかのように取り組め
 3 失われるのは現在のこの一瞬だけだ
4 いま、この現在という瞬間だけが重要だ
 5 時は流れる川のようだ
 6 すべては一瞬のできごとにすぎない
 7 この瞬間はあっという間に過去になる
 8 コントロールできるのは現在だけだ
 9 いま現在に満足せよ
10 心を乱されるな
11 人間の一生などほんの一瞬だ
12 形あるものも記憶も、すべて消え去ってゆく
13 いま存在するものが将来の種子になる
14 変化しないものは役に立たない
15 変化こそ自然
16 まったくあたらしいものなどなにもない
17 過去を知れば未来は予見できる
18 歴史は繰り返す
19 宇宙に存在するすべてが共感しあっている
20 ものごとはすべて関係しあっている
21 それぞれ異なるやり方で協同している
22 宇宙ではすべてがつながっている
23 人生は短いが世代交代で引き継がれてゆく

Ⅱ 運命を愛せ
24 運命がもたらすものを歓迎せよ
25 すべては織り込みずみだ
26 運命は処方されている
27 すべてはそうなると定められていた
28 運命は自発的に受け入れよ
29 自然が生み出すものはみな美しい
30 世の中に生じることに不思議はない
31 人間の本性が欲しないことをしていないか
32 自然にしたがって生きよ
33 当たり前のことが起きても驚くな
34 起こることはすべて自然なことだ
35 宇宙から眺めたらすべては小さい
36 高所から眺めよ
37 評判など無意味だ
38 山頂に一人いるかのように生きよ
39 余計なものを取り去れ
40 あるがままの姿で見よ
41 美しいものに賞賛はいらない
42 ものごとの内側を見よ
43 本質は身もふたもない
44 人生は垢や汚れのようなもの
45 共通する要素に本質を見る
46 裸の状態にして考えてみよ

III 精神を強く保て
47 魂が自らをおとしめるとき
48 「内なる精神」より重要なものはない
49 精神を清めよ
50 知的能力が衰える前によく考えよ
51 心のなかに隠れ家を持て
52 理性を尊重せよ
53 自分の魂について考えよ
54 いつも考えていることが精神をかたちづくる
55 二つの世界を行ったり来たりする
56 しっかりするんだ、自分!
57 内面まで外面の色に染まってはいけない
58 自分のなかに泉を掘れ
59 自分のなかの泉を枯らしてはいけない
60 苦痛かどうかは魂が決めること
61 不幸になるかどうかは自分次第
62 精神の堕落は人間性をむしばむ病気
63 善悪は自分の働きかけで生じる
64 悪や欲望を排除せよ
65 苦痛の原因は考えても仕方ない
66 精神は難攻不落の城塞
67 健康な精神はどんなことでも受け入れられる
68 肉体は精神にとっての道具にすぎない
69 理性的な魂はつねに完璧だ
70 心を乱す原因は自分にある

Ⅳ 思い込みを捨てよ
71 欠点がある人も自分の同族なのだ
72 限度を超えてまで休息する必要はない
73 人間は眠るためでなく働くために生まれてきた
74 死と生は善でも悪でもない
75 人生は思い込みだ
76 思い込みを捨てれば不平は消える
77 思い込みが害悪をもたらす
78 思い込みを消し去れば穏やかになる
79 苦痛と思うから苦痛になる
80 善悪の判断は行動で示される
81 苦しんでいないで行動せよ
82 思い込みを放り出せ
83 思い込みは自分次第でどうにでもなる
84 自分の力でまっすぐに立て
85 障害を燃料にして燃え上がれ
86 正義をなすには忍耐が必要
87 どんなことでもただしく行う
88 意見を変えるにはルールが必要だ
89 死は目の前にぶらさがっている
90 ゴールに向かってひたすら走れ
91 「これはほんとうに必要か?」と自問する
92 あたえられた役割に満足する
93 暴君にも奴隷にもならない
94 時間をかけるかどうかは対象によって決まる
95 真剣な努力を傾けるべきもの
96 もっと単純で善良でいるように
97 快楽に無関心な態度をとるための心構え
98 まもなく死ぬというのに
99 賢者が避けるもの

Ⅴ 人の助けを求めよ
100 親切の見返りは期待しない
101 失敗したら戻ってくればいい
102 ありえないことを追い求めるのは狂気の沙汰
103 無知とうぬぼれは強い
104 妨げ転じて助けに変わる
105 感謝の気持ちで振り返れ
106 印象だけで判断しない
107 疑いや憎しみをもたずにスタンスをとる
108 腹を立てる人にわずらわされるな
109 あたえられた環境に適応せよ
110 自分の善悪の基準を他人にあてはめない
111 妨害されたら方向転換すればいい
112 他人の心のなかにまで入り込め
113 社会と個人は切り離せない
114 会話の内容や行動の意味をよく考える
115 目的達成のためなら人の助けも借りる
116 助けてもらうことは恥ではない
117 ないものねだりするな
118 処世術はレスリングに似ている
119 まずは自分自身が悪事から遠ざかる
120 人の役に立つことが自分の利益になる
121 行動する際に自問すべきこと
122 第一印象以上に考えすぎるな
123 避けなければならないこと
124 態度とまなざしにすべてが現れる
125 本物の親切心は無敵だ
126 しないことと言わないこと

Ⅵ 他人に振り回されるな
127 他人に振り回されるな
128 自分で考えよ
129 他人のことで思いわずらうな
130 全方位に注意を向けるのはやめる
131 自分の心のなかの動きに目をこらす
132 自分の仕事を愛するのは自然なことだ
133 わが道をまっすぐ歩け
134 自分本来のリズムを取り戻す
135 信念をよみがえらせよ
136 誰がなんと言おうが私は私だ
137 自分自身にだけ注意を払え
138 他人に嫌われても気にしない
139 他人から非難されても気にしない
140 自分の判断を軽視するな
141 そういう人なのだと受けとめよう
142 本人に気づかせてあげればいい
143 セルフコントロールが重要だ
144 他人の間違いを許す
145 怒りの表情は自然に反する
146 似た者どうしだと考えれば怒りもおさまる
147 想像力が苦痛を増大させる
148 他人に怒っても意味がない
149 怒りの原因を取り除いてやる
150 コントロールできること、できないこと
151 腹を立てるのは弱さの現れだ

Ⅶ 毎日を人生最後の日として過ごせ
152 どんな人にも長所がある
153 人の長所について考えることは喜びだ
154 毅然として立ち続けよ
155 不運を気高く耐え抜くことは幸運だ
156 最短コースを走れ
157 ただしい道を歩けば幸福になる
158 最高の復讐とは
159 いま生きている人をほめよ
160 人間ができることは自分にもできる
161 真実を追い求めても損害はうけない
162 目を覚まして現実を見よ
163 原理原則にこだわる
164 幸福は自分の行動にある
165 熱中している内容で人間の価値は決まる
166 過ちを犯した人もおなじ人間だ
167 肉体も安定しているべきだ
168 非人間的な人間にも悪感情はもたない
169 どんな状況でも冷静になる
170 毎日を人生最後の日として過ごせ
171 精神的な余裕が大事だ
172 快楽は有益でも善でもない
173 意見を変えるのも自由な活動だ
174 君はなんのために生まれてきたのか?
175 きょうできることは先延ばしするな

Ⅷ 自分の道をまっすぐに進め
176 自分の人生を築くのに邪魔者はいない
177 執着せず思い切りよく手放す
178 仲間から離れてしまうのは利己的な人
179 人がいやがることは自分にもするな
180 他人にやさしくすることは喜びだ
181 悪事は自分自身に対する不正行為だ
182 いまこの瞬間に満足する
183 過ちを犯した人に寛大であれ
184 なにごとにも動じない心をもつ
185 人間の限界を超えることは神々に祈れ
186 悪人がこの世に存在しないことはありえない
187 誰一人として君の精神に害を与えることはできない
188 恩知らずを責める前に自分を責めよ
189 人間は耐えられるように生まれついている
190 よい評判を裏切ってはならない
191 自信をもって自然体で取り組め
192 自分の道をまっすぐ前に進め
193 つべこべ言わずに実践せよ
194 執着を捨てよ
195 あらゆる障害は利用できる
196 なぜ自分はこれをするのか?
197 社会のためにすることじたいが報酬だ
198 「おなじ木で育っても、原則は違っていい」
199 心のなかでも不平不満はもたない
200 見て見ぬふりをしてはいけない
201 人生の目的を明確にせよ
202 不得意なことでも習熟できる
203 総合格闘家を見習え
204 最後の瞬間まで輝きつづけよ
205 あやまちを犯した人は自分自身を責める
206 全身全霊で正義を行え

Ⅸ 死を想え
207 名声はむなしい
208 死後の名声など無意味だ
209 明日になったらすべて忘れ去られる
210 死んだら名前ですらなくなる
211 あっという間に忘れ去られる
212 名声は海辺の砂の山のようなものだ
213 現在を自分へのプレゼントにしよう
214 私たちを導くのは哲学のみだ
215 さまようのは、もうやめよう
216 人生は短い
217 死を怖がるのは子どもだけだ
218 死は恥ずべきものではない
219 いつ死んでもたいした違いはない
220 生きている者はいずれ死ぬ
221 人生を満足して終えよ
222 死ぬことも人生の行為の一つだ
223 死を恐れる必要はない
224 死を歓迎せよ
225 死と和解する
226 死は人生の移行期と同じだ
227 すべては消滅する
228 死も自然にかなったものごとだ
229 死ぬ覚悟をしておく
230 寿命がくるのは悪いことではない
231 五年生きても百年生きても本質はおなじだ

Author description 著者情報

マルクス・アウレリウス

Marcus Aurelius Antoninus(紀元121〜180年)
第16代のローマ皇帝。「五賢帝」の最後に位置づけられている。五賢帝はいずれも内政においては善政をほどこし、外政においても地中海帝国としてのローマ帝国の最盛期を実現した。しかしマルクス・アウレリウスが39歳で即位したとき、すでにローマ帝国は全盛期を過ぎており、衰退の影が見え始めていた。洪水や大地震などあいつぐ天災、東方ではパルティア王国との戦争、北方からのゲルマン人の侵攻などさまざまな問題が押し寄せる。彼は朝から晩まで激務に追われ、しかもゲルマン人との戦闘に関しては晩年の10年間の大半を戦地で過ごしつつ『自省録』を書き続けた。59歳でドナウ河畔の前線の陣中で病没。ハリウッド映画『グラディエーター』には最晩年の、ヤマザキマリの漫画『テルマエ・ロマエ』には青年時代のマルクス・アウレリウスが登場する。
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佐藤けんいち

ケン・マネジメント代表。1962年、京都府に生まれる。一橋大学社会学部・社会理論課程で「歴史学」を専攻、「社会史」研究のパイオニア阿部謹也教授のゼミナールで3年間まなぶ。大学在学中、体育会合気道部主将を務めた。銀行系と広告代理店系のコンサルティングファーム勤務を経て、機械部品メーカーでは社長業以外のすべての機能を「ナンバー2」の実務担当者としてカバーした。タイ王国では現地法人を立ち上げ代表を務めた。2009年に独立して現在にいたる。1992年には米国最古の工科大学であるレンセラー・ポリテクニーク・インスティチュート(RPI)で経営学修士号(MBA)を取得、専攻はマネジメント・オブ・テクノロジー(MOT)。学校法人玉川学園で教育諮問委員を務めている。JBPressコラムニスト。
主な著書に『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(小社刊)、『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』(こう書房)がある。
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