リフレはヤバい

リフレはヤバい

著 | 小幡績
1100円 (税込) ※1

ページ数:260ページ
発売日:2013/1/31
ISBN:978-4-7993-1293-3

Product description 商品説明

リフレとは、インフレをわざと起こすことである。

リフレ政策は、2012年12月の衆議院解散総選挙で、デフレ脱却のためにリフレ政策をとることを公約に掲げて、安倍自民党が総選挙を圧勝したことから、一躍、一般にも有名になった。

しかし、これは最悪だ。善意で主張した政策が、誤った政策だからだ。しかも、それが国民に受けている。彼は、さらに正義感を強め、日本のために、自分を犠牲にしても、リフレ、インフレを起こすことを主張するだろう。誤った政策を実現するために。

しかし、リフレは、最悪である。日本経済が崩壊する可能性があるからだ。なぜなら、リフレが国債を暴落させるからである。国債が暴落すれば、国債を大量に保有している銀行は、経営破綻に追い込まれる。その結果、金融危機から実体経済の危機へ……。

たしかに、リフレ政策を取るとハイパーインフレが起きるというのは極論であり、間違っている。インフレを起こせないのに起こそうとするリフレ政策をとることが問題なのだ。インフレが起きないのに、インフレを起こそうとすれば、歪だけが蓄積する。その歪が、副作用という言葉を超えて日本経済を危機に追い込むことになる。

本書では、『すべての経済はバブルに通じる』がベストセラーとなった気鋭の行動派経済学者、小幡績慶應ビジネススクール准教授が、リフレ政策においては、どのようなことを行い、それがどういう帰結をもたらすのかについて解説し、その誤りを論破する。まさに、今読むべき、警鐘の書である。


最初に、第〇章として、リフレ政策とは何かについて、概説する。
次に、第一章では、そもそもインフレはどのようにして起こるのか。そのメカニズムとシナリオについてお話しする。
第二章では、インフレが起こる前に始まる円安について議論する。
第三章では、円安と同時に起こる日本の金融市場と経済の危機について説明したい。
第四章と第五章では、リフレ派の二つの根本的な誤りを解説する。
第四章では、リフレ派はインフレが望ましいと考えているが、それが誤りであることを、第五章では、リフレ派は、インフレを起こせと言っているが、インフレは起こすことはできないことを示し、それが誤りであることを示す。
第六章では、これらの根本的な誤りに基づく政策であるリフレ政策を、政治家や経済学者やエコノミストの一部が、なぜ大好きで、必死に主張するのか、その謎に迫る。
第七章では、リフレ政策を正しいと信じる方々の理論的背景を議論する。
第八章では、インフレと並んで円安も日本経済には悪い影響を与えることを議論する。
そして、最後に、リフレ政策に代わる、現在の日本経済への処方箋を提言する。


リフレはヤバい。最悪だ。

なぜ、インフレを意図的に起こすことである「リフレ政策」が悪いのか。日本経済が崩壊する可能性があるからだ。たしかに、日本経済は停滞している。構造的変化も必要だ。しかし、それはリフレでは実現できないし、それどころか、日本経済が破滅してしまう恐れすらある。

なぜか?

それは、リフレが国債を暴落させるからである。国債が暴落するのは、円安と名目金利上昇となるからだ。国債が暴落すれば、国債を大量に保有している銀行は、経営破綻に追い込まれる。銀行が破綻あるいは、その危機に陥れば、銀行危機で、貸し渋り、貸しはがしとなり、中小企業はひとたまりもない。このときに、国債が暴落しているから、政府が銀行に資本注入して救済しようとしても、その資金を調達するために発行する国債を買ってくれる人がいない。それを日銀に引き受けさせようとすれば、それはさらなる国債暴落を招き、銀行の破綻は加速する。これこそ、スパイラル的金融危機だ。

これは、極論ではない。たしかに、リフレ政策を取るとハイパーインフレが起きるというのは極論であり、間違っている。ハイパーインフレとは、インフレが加速して制御不能となり、物価上昇率が年率一万%にもなる極度のインフレのことを言うが、そういうことは起きない。それどころか、この二〇年間、先進国以外では頻繁に起きていた年率二〇%のインフレも起きないだろう。

リフレ政策は、インフレをいったん起こしてしまうと、そのインフレが制御不能になってしまうことが問題なのではない。インフレを起こせないのに、インフレを起こそうとするリフレ政策をとることが問題なのだ。

インフレが起きないのに、インフレを起こそうとすれば、歪だけが蓄積する。その歪が、副作用という言葉を超えて日本経済を危機に追い込むことになる。本書では、リフレ政策においては、どのようなことを行い、それがどういう帰結をもたらすのかについて、解説する。日本経済がどうなってしまうのかについて、そのプロセスを丁寧に追っていく。
(「まえがき」より)

Author description 著者情報

小幡績

1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒、大蔵省(現財務省)入省、1999年退職。2000年IMFサマーインターン。2001年~3年一橋大学経済研究所専任講師。2001年、ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。'03年より、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用委員。
行動派経済学者として知られ、TV、雑誌等のメディアのほか、自身のブログ等でも積極的に発言。
主な著書に、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー)『すべての経済はバブルに通じる』(光文社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(東洋経済新報社)『成長戦略のまやかし』(PHP研究所)『ハイブリッド・バブル』(ダイヤモンド社)他多数。
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