憲法がヤバい

憲法がヤバい

著 | 白川敬裕
1100円 (税込) ※1

ページ数:240ページ
発売日:2013/7/6
ISBN:978-4-7993-1355-8

Product description 商品説明

自民党憲法改正草案をめぐって、にわかに憲法改正論議が高まっています。いわゆる 9 条改正や、もともとは GHQ に押しつけられた翻訳憲法であることなどがその中心となりがちですが、改正草案には、その影に隠れがちなもっと重要な「改正」が記されていることをご存じでしょうか?ひとことで言えば、憲法というのがそもそもは、「国家権力を制約するためのものである」という「憲法の本質」を揺るがすものだからです。

24 歳で最年少裁判官(当時)となり、現在は、弁護士としておもに民事に携わる著者は、イデオロギーからではなく、あくまでも客観的立場から、自民党改正草案の問題点を突きます(ちなみに著者は、9 条改正とそのほかの改正は分けて考えるべきだという立場です)。

その著者が最初に、自民党草案に疑問をいだいたのは、13 条でした。「個人の尊厳」は、憲法学の授業で初めに学習する「憲法の根幹」であるのに、その 13 条の「個人として」が、「人として」に変わっていたからです。

さらに、憲法の本質が、「国民の権利・自由を確保すること」から、「国家の形成・成長を確保すること」に、基本的人権の内容も、「人間が生まれながらにして持っている権利」から、「共同体の中で生成された権利」に変わっていました。国民主権も、「人類普遍の原理」から、「国の統治システムの一部」に格下げされていました。

こんな大転換が、私たち国民の一人ひとりがそれと理解しないまま、ムードの高まりの中で行われてしまったら?

憲法の改正が世間の空気によって決まってしまう前に、今一度、憲法について本質から考えていくことが必要です。私たち一人ひとりが、自分の頭で考えて決断すべきときがきているのです。平易な口調で語られる本書が、そのための恰好のテキストとなるでしょう。

巻末には、日本国憲法の全文が付録として、付いています。



(「はじめに」より)
学校の職員会議で、校則の改正について話し合われています。職員会議では、こんな意見が出ています。「我が校は、歴史、伝統、文化がある学校なのに、校則に反映されていませんね」「我が校は、これまで生徒の自由を尊重してきましたが、規律も大切です。生徒には、自由と権利には責任と義務が伴うことを自覚してもらいましょう」
 
自民党の改正草案は、この職員会議の意見に似ています。改正草案は、いまの憲法の前文をすべて改めました。改正草案の前文は、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、・・」という一節で始まっています。改正草案の人権規定には、新たに、「国民は、・・自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、」と追記されました。

中高生は、職員会議で決まった校則に従う義務があります。では、私たちは、国会で決まった憲法案に従う義務があるのでしょうか? 中学校の校則の改正と、憲法の改正の大きな違いは、憲法改正の場面では、国民である私たちは、【学校がつくる校則に従う『生徒』】の立場にあるのではなく、【学校が従う法律をつくる『政治家』】の立場にあることです。

その理由は、次の 2 つです。
(1)憲法の本質は、国家権力を縛ることにある。
(2)憲法の改正は、国民の承認によって決まる。

本書は、憲法の条文を一つひとつ解説したものではありません。これからお話しするのは、憲法の改正はどうあるべきか、私たち国民の一人ひとりが自分のこととして考えていかなければならない「重要ポイント」です。

本書では、「憲法の本質」という言葉が、何度も登場します。その理由は、「憲法の本質」から考えることが、憲法の改正を考えるうえでの「最も重要なポイント」だからです。

自民党の改正草案を見ると、
(1)憲法の本質が、変わってしまっているのでは?
(2)憲法の改正は、国民が決める立場にあるのに、なんだか、職員会議で決められた校則のようだ・・
と感じられるところが、たくさん見受けられます。

憲法改正の場面では、国民の一人ひとりが「政治家」です。 ひとりでも多くの方に、「政治家」として正しい決断ができるように、憲法のことをもっと知ってもらいたい、そんな思いで本書を執筆しました。
 
──「常に本質から考える」

このことを意識しながら、本書を読み進めていただければ幸いです。

Author description 著者情報

白川敬裕

弁護士(東京弁護士会所属)。原・白川法律事務所パートナー。
東京大学法学部卒、ラサール高校卒。大学4年在学中に司法試験に合格。最年少(当時)の 24歳で裁判官に任官。民事訴訟、医療訴訟、行政訴訟、刑事訴訟等に左陪席裁判官としてかかわる。民事保全、証拠保全、民事執行、破産、令状等も担当。
03年 弁護士に転身。著書『会社の健康リスク対策は万全か』(共著、フィスメック)、 『ビジネスの法律を学べ!(ディスカヴァー21)、 『本物の勉強法』(ダイヤモンド社)、 『図解でスッキリ!民法改正 重要テーマ100』(中央経済社)
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