あなたのこども、そのままだと近視になります

あなたのこども、そのままだと近視になります

著 | 坪田一男
1100円 (税込) ※1

ページ数:232ページ
発売日:2017/2/25
ISBN:978-4-7993-2041-9

Product description 商品説明

小学生の30%、高校生の65%が近視という事実を知っていますか?
そして、近視が進むと失明に至ることをご存知でしょうか?
いま、世界中で近視のこどもたちが急増しています。
もはや、パンデミックと呼びたくなるようなレベルです。
しかし、その本当の原因は知られていません。
「近視は予防できない」という通説を覆し得る大発見と、
近視にさせない、進ませないための具体策をご紹介します。

---以下「はじめに」より抜粋---
 最近、子どもたちの近視が増えているような気がしませんか? 実際に自分のお子さんが近視、または周囲に近視の子どもが多いことから、心配しているお母さんやお父さんも多いでしょう。

 自分が近視でないにしても、周囲に一人も近視の友人や家族がいないという人はいないでしょう。メガネやコンタクトによる煩わしさはあるものの、それでも特に問題なく日常生活を送れているはずです。
 そのおかげで、一般の人たちはもちろん、私たち眼科医でさえも「近視はたいした病気ではない」と思っていました。今でも多くの人がそう感じているはずです。正直に言えば、私自身も以前は「近視くらい」と思っていました。
 しかし、「ここまで一気に近視が増えるのはやはりおかしいんじゃないだろうか?」と思うことが増えてきました。

 文部科学省の調査では、裸眼視力が0・3未満の小学生は、1979年に比べて3倍以上も増えています。しかも、裸眼視力0・3未満の人の割合は年齢が上がるにつれて高くなり、高校生の近視率(裸眼視力1・0未満)は65%にものぼります

 そんな中、唯一確実だとされていることは、「外で遊ぶと近視になりにくい」というものです。できるだけ長時間外で遊ぶことがたいせつだとされていますが、「毎日1時間以上」「毎日2時間以上」「週14時間以上」などなど、近視抑制効果があるとされる「外で遊ぶ時間」については研究者によってかなりのバラツキがあります。
 というのも、どうして外で遊ぶことで近視を防ぐことができるのか、そのメカニズムが明らかになっていないので、目安となる時間を算出することができないのです。

 本書のテーマは、外で遊ぶことがなぜ近視抑制効果を持つのかを明らかにすることです。
 未知の部分も多いこのテーマについて、私たちは世界で初めてそのメカニズムを発見。すでに治療への応用まで考えています。
 詳しくはこれから本書の中でじっくりご紹介していきますが、現代社会で失われていた「ある特定の波長の光」が影響していることを見つけました。
 私たちは、この新しい発見を活かし、近視を予防・治療して、多くの患者さんに快適な視界を届けたい、そう願っています。

Index 目次

はじめに 近視が、全世界的に増えている
 子どもたちの近視が増えている
 気づけば、周囲は近視の人ばかり
 近視の本当の原因は知られていない
 注目すべきは「屋外活動」
 なぜ「屋外活動」か、世界はまだ気づいていない
 近視治療の3ステップ
第1章 そもそも、近視とは?
 目と視覚のしくみ
 眼軸長が伸びると近視になる
 子どもの近視が増えているのはなぜか?
 大人になってからも近視が進む人が増えている
 近視を示す数値「ジオプター(D)」
 「強度近視」のままだと、恐ろしい「病的近視」に至る
 「近視は適応」ではなかった
 人類はなぜ近視になったか
 近視のメリットとデメリット
 近視は早めに予防しよう
第2章 近視に関する噂を科学的に検証する
 近視は近年急激に増えている?
 近視の両親の子どもは近視?
 外でよく遊ぶ子どもには近視が少ない?
 ガリ勉は目が悪い?
 本を読むと目が悪くなる?
 近視の原因はビタミンDの欠乏?
 都会っ子にはメガネが多い?
 虫歯やおやつが近視と関係する?
 睡眠や母乳、母親の喫煙が近視と関係?
 電気を通すと目が良くなる?
 近視を予防するといい子が育つ?
第3章 近視の原因はバイオレットライト(紫光)不足だった!
 どうして外で遊ぶと近視が減るのか?
 「バイオレットライト(紫光)」と近視の関係を発見!
 近視研究チーム発足!
 強度近視治療での発見が出発点
 ある光を通すレンズと通さないレンズ
 ヒヨコを使った近視実験
 380nmの波長を持つバイオレットライトとは?
 メガネの都市伝説も説明可能!?
 「光」あふれる現代社会
 健康に必要な光と有害な光
 分子レベルで近視抑制のメカニズムを解明
 光の強さとエネルギーピーク
第4章 目は、見えない光も見ている
 太陽光はすべての生命の源
 オプシンが光をキャッチ
 色や明暗を見分けるためのオプシン
 サーカディアンリズムに影響する「第3の視細胞」
 バイオレットライトに反応する「第4の視細胞」
 「第4の視細胞」の解明に向けて
第5章 近視とエイジング~さらなる仮説
 成長と老化の微妙な関係
 アンチエイジングに基づく近視治療の可能性
 大人の近視治療には、アンチエイジングが有効?
 メトホルミンによる近視予防
第6章 近視の予防と治療に向けて~今までの近視の矯正と治療
 メガネ、コンタクトレンズによる近視矯正
 今、もっとも注目されている「オルソケラトロジー」
 誤った情報によるレーシックへの誤解
 レーシックは安全な方法です
 スマイルという最先端治療
 薬剤による近視の予防
 軸外収差に着目した治療・予防も研究中
 強度近視に対する失明させないための治療
 超強度近視を矯正できるフェイキックIOL
 薬剤を使った強度近視の治療
第7章 近視は予防できる!
 近視研究会を発足
 眼軸長測定が一般的な検査になるように
 「近視は予防できる」を常識に
第8章 家庭でできる近視予防
近視かな?と思い始めたら
外に出て、日光を浴びよう!
もっとバイオレットライトを浴びるには?
読書は良い姿勢・環境で
勉強机はどこに置くべき?
デジタル機器は「近視製造器」
生活環境や住環境を点検する
サーカディアンリズムをたいせつにする
屋内でバイオレットライトを浴びるには?
メガネのままバイオレットライトに当たるには?
第9章 バイオレットライトで近視を予防するために
 近視予防外来を開設!
 バイオレットライト仮説に基づいた実践
 バイオレットライトを取り入れた生活の指導
 「光のビタミン」を摂取するための指導
 屋外環境光LEDとメガネによる臨床研究スタート
 食と運動による近視の予防も
第10章 「こどもを近視からまもろう!」プロジェクト始動
 バイオレットライトを奪われた現代社会の子どもたち
 「こどもを近視からまもろう!」プロジェクト
 学校、幼稚園にはバイオレットライトが足りない
 教室のレイアウトを変えないと、右眼ばかり悪くなる!?
 幼稚園、学校などへの指導
 外で遊ぶ機会を増やすために
 あらゆる角度から近視予防にアプローチ
おわりに
 技術の進歩が健康に与える影響
 謝辞

Author description 著者情報

坪田一男

株式会社坪田ラボ 代表取締役 CEO/慶應義塾大学名誉教授/慶應義塾大学医学部発ベンチャー協議会代表/医学博士/経営学修士(MBA)
1980年、慶應義塾大学医学部を卒業し、医師免許取得と共に同学部眼科学教室に入局。87年、米国医師免許を取得し、ハーバード大学角膜クリニカルフェローを修了した。東京歯科大学眼科を経て、2004年から2021年まで慶應義塾大学医学部眼科学教室教授。研究面ではドライアイや近視の領域で多数の論文を発表。発表した論文の数とその被引用数をベースに研究者のその分野への貢献度を示すh-index(h指数)は125を超え、医学分野で国内トップクラスに位置する。教育面では慶應義塾大学医学部の「Best Teacher Award」を3度受賞した。15年、株式会社坪田ラボを創業し、22年東京証券取引所グロース市場に上場させた。現在も経営者、そして研究者として継続してドライアイ、近視、老眼の課題解決のための研究、開発を行っている。
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