「一人で生きる」が当たり前になる社会

「一人で生きる」が当たり前になる社会

著 | 荒川和久
著 | 中野信子
1100円 (税込) ※1

ページ数:280ページ
発売日:2020/12/18
ISBN:978-4-7993-2706-7

Product description 商品説明

2040年には、独身者が人口の5割になり、
既婚者(64歳まで)は3割になるーー。


この衝撃的な数字を見て、みなさんはどのように感じたでしょうか。
「既婚者である自分たちは、少数派になってしまうのか……」
「このままだと、少子高齢化がますます進むだろうし、日本の将来はどうなるのか……」
と思ったかもしれません。

あるいは逆に、
「これから『一人で生きていく』ことに不安しか感じていなかったが、20年後には自分たちが多数派になるらしい。
ということは、社会のあり方も大きく変わらざるを得ないはずだから、今よりも暮らしやすくなっているかもしれない」
と前向きに感じた方もいらっしゃるでしょう。

では、実際のところはどうなのか?
というわけで、これからの日本は「一人で生きる」のが当たり前になる、という予測をテーマに据えて、
独身研究の第一人者・荒川和久さんと気鋭の脳科学者・中野信子さんに対談をしていただきました。

この本は、大きく2部構成としました。
・前半(第1〜4章)は、独身者(ソロ)と既婚者のそれぞれの生き方や幸せ、
「孤独」という「個人」にまつわることについて。
・後半(第5〜7章)は、視点を少しずつ個人から社会全体のほうに転じ、
ソロと集団、多様性と個性といった社会的なテーマに移行するという流れになっています。

そして終章として、今の時代では無視できなくなった「withコロナ時代の生き方」という時事的なトピックで締めくくります。

「ソロ男の外食費は、一家族分の外食費の2倍近い」「恋愛が得意な人は全体の3割だけ」
「実は、アメリカも同調圧力が強い」などのデータやファクトを縦横無尽に繰り出す荒川さんに対し、
「認知的不協和」「ステレオタイプ脅威」「シャーデンフロイデ」といった学術的な用語を引き合いに出しながら、
それらの現象を鮮やかに読み解いていく中野さん。

お二人それぞれの知見が詰まった鋭い現状分析、緻密な未来予測をお読みいただきながら、
20年後のみなさん自身の生き方について考える一助としていただければ幸いです。

Index 目次

第1章 ソロ社会化する日本

日本は高齢者よりも独身者が多い「独身国家」になる
300万人の日本人男性は、結婚相手が見つからない
独身男女の住むエリアの壁――「港区女子」と「足立区男子」は出会えるのか?
一人でいたい人は4割、他者と一緒にいたい人は6割
経済活動としての結婚、搾取手段としての「皆婚主義」
家族市場の衰退、「ソロ活市場」の拡大

第2章 孤独とは悪いことなのか?

孤独はお酒やたばこと同じくらい「健康を害する」?
癒やしの行為としての「孤食」
「ひとり飯」はかわいそうなのか?
孤独には、「選択的孤独」と「排除による孤独」の2つがある
友だちの数が可視化されて、孤独を増進するSNS
DVされても離れられないーー「認知的不協和」の罠
結婚後5年以内に愛が冷める理由

第3章 ソロの幸せ、既婚者の幸せ

ソロ女は、徹底的に「愛よりお金」
「いつかは結婚できるはず」――ソロ男はロマンティスト
男性化する「ソロ女」
ソロ男・ソロ女は、「有能な自分」しか肯定できない
「インスタ映え」でわかる自己肯定感の高さ
「男性は恋愛」「女性は仕事」が自己肯定感の判断基準
欠落感を埋めて幸せになるための「エモ消費」


第4章 恋愛強者と恋愛弱者の生存戦略

30年前から変わらない「恋愛強者3割の法則」
自分と近い組み合わせの「恋愛同類婚」が約半数
結婚は「父性と母性」を持たないと成り立たない
亭主関白な夫は、母性が豊富!?
「思いやりの欠如を金で補えるか」問題
結局、女性の容姿と男性の経済力はトレードオフなのか?
「結婚する人・しない人の共存」が子育てしやすい社会の鍵

第5章 ソロ化と集団化の境界線

自分で自分に呪いをかける「ステレオタイプ脅威」の怖さ
オタク=「犯罪者」? なぜ根拠なきステレオタイプが量産されるのか
属性vs属性 個人より共同体の意思が優先される危険性
実は「同調圧力」が高いアメリカーー人とつながれないと落伍者になる国
個人より社会が優先される欧米、江戸時代からソロ文化の日本
ソロ化と集団化の境界は、状況によって変化する


第6章 自分とは何かーー一人の人間の多様性

「ステレオタイプ脅威」を払拭するのは至難の業
目の前にある現金1000万円を総取りするか、分け合うか
なぜみんな、「スタバでMac」なのか?
個性を求めると、かえって人と同じになってしまう?
「自分とは何か」という問いと、一人の人間の中の多様性

第7章 世の中を動かす「感情主義」のメカニズム

誹謗中傷がもはや「快楽」になっている?
「叩くという快楽」にふける「正義中毒者」たち
他人を叩く快感――「シャーデンフロイデ」
「共感でつながるべき」という勘違い
感情よりも理屈よりも、まず環境を変えよ

終章 「withコロナ時代」の生き方を考える

「コロナ離婚」の増加が意味するもの
なぜ、オンラインミーティングはやりにくいのか
マスク買い占めに見る、人間の本質の変わらなさ
ネガティブな感情の拡散に冒されない

Author description 著者情報

荒川和久

独身研究家/マーケティングディレクター。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。著書に『結婚しない男たち― 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)など。
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中野信子

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授。著書に『ペルソナ』(講談社現代新書)、『サイコパス』(文春新書)、『キレる!』(小学館新書)、『悪の脳科学』(集英社新書)、『空気を読む脳』(講談社+α新書)ほか。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。
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