ビジネスパーソンのための法律を変える教科書

ビジネスパーソンのための法律を変える教科書

著 | 別所直哉
2200円 (税込) ※1

ページ数:360ページ
発売日:2017/12/14
ISBN:978-4-7993-2202-4

Product description 商品説明

 ヤフーの法務担当者である著者が、ビジネス上の課題を法律やガイドライン等のルールを変えることによって解決してきた実際の経験を惜しみなく公開!
 
社会のあり方は法律などのルールによってデザインされています。
 社会をよりよくするためには、ルールを変えたり、必要なルールを作ったりする必要があります。
 みなさんは、ふだんのビジネスのなかで、さまざまな課題に気づいていることと思います。そうした課題を解決するために、法律を変えたり、作ったりすることが役立つこともあるのです。
 課題に気づいたら、次は、何を・誰に・いつ・どのように働きかけていくのかという道筋を見つけることが大切です。
 法律をはじめとする政省令や規則、ガイドラインなどのルールを変える・作る道筋は一つではありません。課題によっても、取り巻く環境によっても異なります。どのような道筋があるのか、私たちが取り組んだ具体的な例を紹介しながら述べていきたいと思います。

Index 目次

はじめに 私たちも法律を変えることができる 

序章 法律が変われば社会が変わる
   私たちの生活には多くの法律が関わっている
   課題を解決するために法律・ルールを変えるという選択がある
   ルールを変えていくための道筋は一つではない
   さまざまな省庁との関係を作る
   作る・変えるだけでなく、今あるルールを使い切ることも必要
   会社の視点を超えて世の中の視点で考えよう
   ルールを変えていくために働きかける「ロビー活動」
   普段から情報の収集と分析を行う
   ルール作りに終わりはない
   コラム ルールを作るプロセスを決めているルール
   
第1部 法律を変えるための基礎知識
第1章 ビジネスを生かすも殺すも法律
ネットオークションの悪用対策から法律改正へ
始まりは「委員会」への参加依頼
報告書を読み違える
改正案をスッパ抜いた毎日新聞
「意見書」の提出によって反論する
省庁間折衝にも頼る
閣議決定
条文案を知ることの大切さ
もう一つの検討プロセス……政党内の審査
あきらめずに突き進む
国会議員の理解者を増やす
実質的な決着
法案の可決
国会カレンダーとは何か
コラム 法学部ではルール作りは教わらないのか?


第2章 法律を作る・変えるために必要なこと
1 最初に考えなければならないこと
2 アプローチを間違えてはならない
3 何を変えるのがよいのか明確にする
4 必要な相手に働きかける
コラム 古物営業法の後日談

第2部 ケーススタディ 課題解決のために法律を変える
第3章 検索エンジンを作ると著作権侵害になってしまう
→著作権法改正に取り組む
日本で検索エンジンはどのように進歩してきたか
著作権法という課題
コラム 米国の著作権法と検索エンジン
経済産業省のグーグルに対抗するプロジェクトにより転機が訪れる
文化庁での検討
法制問題小委員会の中間報告
会議体の重要性
著作権法改正が日本版グーグル誕生につながらなかった理由
法改正がもたらしたもの
改正の先にあるもの
 
第4章 インターネットで情報を伝えると選挙違反になってしまう
→公職選挙法改正に取り組む
選挙のためにインターネットはどんな役割を果たせるか
公職選挙法からインターネットを考えるとどうなるか
知らないうちに公職選挙法に違反してしまう危険が増えた
議員にインターネットへの理解を深めてもらいたい
議員からの最初のヒアリングで学んだこと
ネットで署名活動を行う
まさかの事態で法改正が遠のく
事前準備に走る
改正に向けた世の中の動き
改正で選挙運動は変わったのか?
残された課題

第5章 海外から配信される電子書籍は消費税が課税されず、競争が不公平になってしまう
→消費税法改正に取り組む
同じ物を買っても消費税がかからないものがあった
新聞記者に情報を提供する
法改正か政省令の改正か、ゴールを明確にする
財務省の「消費税の課税の在り方に関する研究会」で議論される
財務省でのヒアリングと経団連
社外の同じ声を集める
議員連盟の設立をお手伝いする
インパクトがあったNHKの報道
事業者によるフォーラムを開催する
3団体主催で公開フォーラムを開催する
財務省が改正に向けて舵を切る
改正を遅らせないために次のフォーラムを準備する
議員立法に向けての準備を手伝う
平成27年度の政府税制大綱の閣議決定

第6章 地方でのイベントに人が大勢集まると宿泊するところが不足してしまう
→行政ガイドライン修正に取り組む
「ツール・ド・東北」の実施のためには民泊が必要不可欠だった
有償の民泊は旅館業法で認められていないため、無償の民泊で対応
有償の民泊を目指して規制改革会議に要望を提出
コラム シェアリングエコノミー
規制改革会議でツール・ド・東北の民泊に絞って意見を述べる
コラム 旅館業法の内容
規制改革会議から閣議決定へ
「イベント民泊ガイドライン」が思わぬ障害となる
国と自治体の考え方の違いに挟まれる
ガイドライン改正に向け、国会議員に働きかける
残された「入れ替わり禁止」問題
今後も民泊に関するルール変更は続く

第7章 偽ブランド品がネットオークションに出品されてしまう
→あえて法改正ではなく業界の自主基準で対応する
「ハードロー」と「ソフトロー」
知的財産権を侵害する出品物は放置しておけない
コラム 偽ブランドをどうやって見分けるのか?
知財推進計画で法改正の必要性が示される
業界の自主規制というソフトローでの対応を選択する
権利者団体にも働きかけて一緒に知的財産権侵害品の出品を防ぐ対策を進める
自主基準による取り組みに成果が現れる
「日本方式」を海外にも広めたい

第8章 プライバシー保護のために「忘れられる権利」を作ることが議論になる
→新たなルールを作らないことを選択する
「データを削除する権利」と「忘れられる権利」
欧州での判決から「忘れられる権利」という言葉が一人歩きする
日本ではどのようにプライバシーが保護されてきたのか
「検索結果とプライバシーに関する有識者会議」を立ち上げる
プライバシー保護については既存のルールで対応可能
「忘れられる権利」は必要だと思いますか?

第9章 「約款」が契約として認められることが法律上に明記されていない
→債権法改正に取り組む
債権法について120年ぶりの見直しが始まる
「約款」で契約が成立するかどうか、民法には規定がなかった
約款に関する検討を始める
約款に関して意見が2分される
約款を民法上に明記することを主張して多くの批判を受ける
広く理解してもらうための活動を続ける
経団連の債権法改正WGに参加する
法制審議会での経団連の意見が変わる
改正案の成立
民法という法律について考えたこと


第10章 ルール作りのために多くの人々の声を集める必要がある
→NPOなどの団体を作る
ルール作りに役立つ団体を作るには
コラム 団体を作ることと、団体に参加すること
団体はさまざまな形を選択できる
法人でなくても政策提言はできる
ヤフーがNPOのメンバーとして活動している例もある
同じ目的を持つ加入者に絞り込むための一般社団法人
個々の団体の活動を超えて
コラム ルールを提案する団体とルール作りを求められる団体

第11章 日本の国内だけで法律を変えても対応し切れない問題がある
→さまざまな国際会議に参加する
国際会議に参加する意味とは
企業が希望すればAPECに参加できる
国際ルールによってはインターネットが自由に使えなくなる危険がある
総務省の職員という形で国際会議に参加
味方になる国を増やすためにIGFに参加する
残された多くの課題

Author description 著者情報

別所直哉

1957年生まれ。神奈川県出身。1981年慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、持田製薬株式会社入社。同社法務部門を経て1999年にヤフー株式会社入社。法務責任者として立法政策活動、コーポレートガバナンス、リスクマネジメントなどを幅広く担当。民法、消費税法、個人情報保護法、著作権法、公職選挙法、古物営業法、不正アクセス禁止法、特定商取引法、消費者契約法等々、数多くの法律改正に関わってきた経験を持ち、現在もロビイングに取り組んでいる。
ヤフー株式会社執行役員インテリジェンス管掌のほか、紀尾井町戦略研究所代表取締役、ルークコンサルタンツ株式会社代表取締役、セーファーインターネット協会理事長などを勤めている。
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