ポップな経済学

ポップな経済学

著 | ルチアーノ・カノーヴァ
訳 | 高沢亜砂代
1650円 (税込) ※1

ページ数:256ページ
発売日:2018/8/26
ISBN:978-4-7993-2355-7

Product description 商品説明

「予測は難しい。とりわけ未来の予測は難しい」
 偉大な量子物理学者ニールス・ボーアが言ったとされるこの言葉から、本書を始めたい。
 未来について話す本。未来に向かって進もうとする本だ。

 これから何が私たちを待ち受けているのだろう。それをこの目で見ることはできないが、せめて手探りででも準備できることはあるかもしれない。
 そこで、なるべくたくさんの事実を紹介することを、この本の最大の目的とした。

 本書に、世界を救う処方箋が書いてあるなどとは期待しないでほしい。最新の理論もない。人々が願ってやまない、奪い取らなくてはならない、ここにしか書いていない真実などというものもない。
 So What? だからなんだって? 

 私がこの本を書いたのは、世間で“Disruption”が叫ばれる今の時代に、まだ答えのない多くの問題を明らかにして、新たな課題を提起するためだ。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが「創造的破壊」を唱えていたように、Disruptionすなわち、「破壊」という言葉が、近い将来「創造的」という形容詞が似合う言葉になることを願って。
 
 本書では、経済に応用されるテクノロジーの歩みをたどっていく。経済学は今、その姿を大きく変えつつある科学だ。それは経済危機のためでもある。危機はそれを予見すべきであった経済学者を追い詰めている。しかし、科学という言葉を使う以上、経済学も他の科学と同様、これまでも進化してきたし、これからも進化して、時代のうねりの中で人々が声高に求める変化の要求に応えていくものであることを述べておく。

 そして経済学は、何よりも人の選択を研究する分野である。実際に、選択に起因する逸失利益(本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益)であるオポチュニティ・コスト、トレードオフ、インセンティブといった言葉はすべて、選択の要因にまつわる用語だ。
 だから本書では、望むと望まざるとにかかわらず、私たちを巻き込んでいくエクスポネンシャル(直訳すると「指数関数的」を意味するが、これまで支配的な地位を築いてきた業界内の企業に対し、新たな競争を迫る「前例なきディスラプション」を前提とする概念)な時代の中で迷子にならないように、そして、進むべき道を見極められるように、テクノロジー・イノベーションのおかげで生まれるたくさんの可能性を整理して、わかりやすく解説する。

Index 目次

序章
第1章 テクノロジーが、経済学の手法も進化させている!
第2章 現代の魔法の言葉「ナッジ」!
第3章 「ゲーミフィケーション」を巧みに活用する
第4章 クラウドファンディングの台頭
第5章 情報社会が抱えるリスク情報カスケードとデマの蔓延
第6章 ビッグデータが統計におけるコペルニクス的大革命を起こす
第7章 生活の質を測る新しい指標とテクノロジー
第8章 デジタル革命が大学教育を変える
第9章 超接続社会におけるネットワーク
最終章 未来はあなたを待っている

Author description 著者情報

ルチアーノ・カノーヴァ

行動経済学、基礎経済学、サイエンス・コミュニケーションの教師兼研究者(エンリコ・マッティ高等教育機関、環境マネージメントおよびエネルギー経済学修士課程プログラム)。国立パヴィア大学、ルイージ・ボッコーニ商業大学講師。ミラノのルイージ・ボッコーニ商業大学経済学部卒業。イギリス、サセックス大学大学院にて修士号を取得後、2008年にミラノのサクロ・クオーレ・カトリック大学にてPhDを取得。2009年、パリ経済大学にて博士課程修了後の研究者として在籍。
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高沢亜砂代

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※1 店舗ごとの消費税の端数の計算方法の違いによっては、お会計額に誤差が生じる場合があります。