超訳 モンテーニュ 中庸の教え

超訳 モンテーニュ 中庸の教え

著 | モンテーニュ
編訳 | 大竹稽
1870円 (税込) ※1

発売日:2019/1/25
ISBN:978-4-7993-2419-6

Product description 商品説明

『エセー』で知られる哲学者モンテーニュは、フランス史上最大の混乱期に生きた人です。国内はカトリックとプロテスタントに分裂し、そこに権力闘争が滑り込み、フランスは稀に見る無秩序に叩き込まれました。モンテーニュは、混迷極まるこの時代に、公人として「奮戦」しました。
 彼が思想家と呼ばれるのは、学者だったからではなく、『エセー』という書物を残したからです。
 モンテーニュはモラリストの始祖とも呼ばれます。体系的な思想を形成しなかったので、彼の名が哲学史の教科書に出てくることはありませんが、世に名高い数々の大哲学者たちが『エセー』を読んでいるのは周知のところです。パスカル、ルソー、日本では西田幾多郎、そして、ニーチェ。

 『エセー』の中で、モンテーニュが思索し続けたテーマには、「死ぬ」「生きる」「判断力」「無常」「無知」「自然」などがあります。
 そして、どのテーマについても答えを出すことはありません。自分の思索の巡り合わせを、ただ記述していきます。ですから、彼の言葉は、命じるのではなく、私たちに示唆を与えるにとどまります。ここもまた、彼の魅力の一つです。
 モンテーニュは決して、自らを地上から乖離させません。あけすけに自らを暴露します。「結婚には向かないんだよな」「結石って痛いよね」「ハゲでなにか?」「死に方なんてわからんわい」「楽しくないことはしたくないね」「怒鳴ってしまうこともあるわな」等々……。
 きっと、モンテーニュが記述する数々の姿を、あなた自身にも見出せることでしょう。
 
モンテーニュの卓抜した洞察力は、私たちがぶつかっている問題を予知しています。「多様性」「知識(情報)」はその最たるものでしょう。「多様性というなら、自分が一番多様(定め無い)じゃない?」「知識に使われるな! 知識を活かせないなら、そんなもの捨ててしまおう」
「中庸」に対する思索もまた、抜群のバランス感覚の賜物です。「断定はしない。ただ私はそう思うだけだ」「徳は断崖絶壁の頂に据えるものじゃない」「六十歳でも学生のような姿勢でいたい」等々。これらは、彼の品格も表現しています。
 
『エセー』は、現代の日本人の身にこそ、沁みるのではないでしょうか。自分の目ではなく他人の目を気にすることが多い私たち日本人の背中を押してくれるメッセージが、随所に現れます。「他人の目で自分を見られるかい?」「名を残すより、生きることが大事だよ」「結果なんて問題にならんわい」……。

Index 目次

1 自分について
2 人生について
3 幸福について
4 誠実さについて
5 判断力について
6 学びについて
7 無常について
8 死について

Author description 著者情報

モンテーニュ

Michel Eyquem de Montaigne(1533〜92)
16世紀フランスのモラリスト。宗教戦争の混乱期の中、カトリック教徒として国王アンリ3世の侍従を務めながら、プロテスタント側からも信頼され、穏健派として両派の調停に努めた。特に、プロテスタント派の領袖、ナヴァール王アンリ(後のアンリ4世)からの信任は厚かった。1580年に『エセー』初版を発表後、死の間際まで『エセー』は加筆されていく。『エセー』から最も引用されるフレーズ「クセジュ « Que sais-je ? »」は、「我何をか知らんや」を意味する。この疑問形は無神論的・破壊的姿勢ではなく、むしろ、次の段階の肯定形へと進むための中立的・創造的姿勢である。『エセー』は、数多の思想家・哲学者・教育者・政治家に影響を与え続け、ニーチェに「『エセー』を読んだら羽が生えた」と言わしめた。
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大竹稽

『超訳モンテーニュ』編訳者、思想家、教育家、(株)禅鯤館 代表取締役
1970年愛知県生まれ。旭丘高校から東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を錬磨するために、再度、東大大学院に入学し、そこでフランス思想を研究した。現在は、東京・横浜・鎌倉で「てらてつ(お寺で哲学する)」やお寺での作文教室を開きながら、「共悦」「共生」のテーマに挑んでいる。
編著書に、『賢者の智慧の書』『めんどうな心がらくになる』ほかがある。
鎌倉の名刹浄智寺(毎月第三土曜)と都内港区の名刹龍源寺(毎月第一・第三日曜)で作文教室開催中(くわしくは「大竹稽」で検索してください)。
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