究極の独学術

究極の独学術

著 | 瀬木比呂志
2750円 (税込) ※1

ページ数:498ページ
発売日:2020/4/17
ISBN:978-4-7993-2596-4

Product description 商品説明

エリート裁判官として30年以上にわたり第一線で活躍したのち、学者に転身するとともに作家としても数多くのベストセラーを執筆する著者が、多方面に及ぶその活躍を可能にした自身の「独学」の方法のすべてを初めて開示する。膨大な量の本や映画、音楽などからインプットしてきた著者は、とりわけ独学の手段として「リベラルアーツ」を重視する。
その血肉化を主眼とする「独学術」は、ビジネス上の効果はもちろん、それにとどまらず、膨大な情報があふれ返り、数年先が予測不可能な現代を生きるすべての人々にとって、強力な「サバイバルスキル」となるだろう。

Index 目次

プロローグ
本書の趣旨
僕の考える「独学術」とは
僕の独学術の基盤となっている方法
本書の構成とその内容

第1章 独学が必要な理由
流動する世界では、「独学」でないと学べない事柄が増えている
「独学」の定義、意味、内容それ自体についての根本的なとらえ直しが必要
欧米の大学教育は本当に進んでいるのか?
そもそも、大学教育一般の普遍的な問題ではないのか?
さらには、「教えてもらう」という発想自体に問題があるのかもしれない
社会に出てから本質的な事柄を学ぶには?
「独学」の重要性

第2章 情報の海をいかに泳ぐべきか?
1 インターネットが開いた新しいメディア時代の功罪
インターネットの出現という歴史的な出来事
メディアのあり方が知のあり方を変える
インターネットの功と罪
インターネット情報の「コントロール不可能性」と「浅さ」
インターネット発信とその受容の即時性、党派性、ファン的性格
2 独学における書物の意味
独学における「書物のゆるぎのない重要性」
独学の対象になるような深い思索は、ほぼ書物からしか得られない
3 情報を取捨選択するための基本的な視点
情報全般の取捨選択にあたっての三つの指標
4 新聞、雑誌、テレビ、 インターネットの位置づけと利用法
新聞とその周辺のメディアをどう読むか?
雑誌について
テレビを見る時間は一定程度に限定して
発信する側からみると
インターネットの有益な利用方法
インターネット上の記述を論説的に参照する場合
インターネットは「議論の相手」、あるいは「ベターな世間」
5 みずからの拠点を作ることと、そこから出かけてゆくこと
物理的、精神的な「自分の拠点」を作ることの重要性
情報を限り、自分に沈潜することもまた必要
僕自身の場合
人々や時代、また社会のリズムを感じ取る
海外に出る場合には
6 書斎の作り方、情報の取捨選択コレクション
書斎のかたち
コレクション整理の方法
新しい情報の取得、整理、処分の方法
情報の取捨選択コレクションの意味
音楽配信、音楽作成ソフト、CG等の落とし穴
カフカの『巣穴』が伝える「思索の拠点」についてのメッセージ
独学と仕事のスペースにものを積まない

第3章 書物や作品を「読む」技術の基本
1 「読む」こと、受容することは 一つの技術
書物の選択や読書、またリベラルアーツ全般の受容は、一つの技術である
2 濫読と精読の関係、また精読の意味
濫読と精読の組み合わせが有効
精読とは、書物と「対話」を行うことである
3 いかに書物や作品を選んでゆくか?全体的な方針
書物や作品を選ぶにあたっての基本的な姿勢
みずからのテーマを広くもち、それに沿った選択を行う
「結晶作用」の重要性
4 個々の書物や作品の選び方書店、インターネット、図書館
最初は書店に通うのがベター
いい本は「匂い」と「第六感」でわかる
インターネットを利用する場合
書物に関するレビューやブログの記述
書物購入の「リスク」について
買った本をどのように読んでゆくべきか?
時には「ジャンル買い」、「テーマ買い」、「著者買い」も有効
図書館について
5 「対話」の記録の方法カードの作り方、線の引き方、メモの取り方など
書物や作品との「対話」の記録を残す意味
カード、ルーズリーフ
手帳の使い分け
書物との「対話」の記録方法
書物に線を引く
書物の最初の部分に走り書きのメモを残す
6 学問の場合
学問の場合の特殊性?
学問の方法のエッセンス
専門分野について学ぶには
専門知識とリベラルアーツ一般の相互作用

第4章 書物や作品から、内容方法思想発想を学ぶ
1 内容、方法、思想、発想
書物や作品から学べる事柄
2 書物を読む時間場所、 並行集中読書法
書物を読む時間と場所
並行集中読書法
リベラルアーツと接する際の三つの重要事項
3 書物との「対話」の具体例
書物との「対話」とその内容
思想等
現代アメリカ社会
ノンフィクション、評伝、自伝
自然科学
広義の精神医学関連
文学
4 映画との「対話」の具体例
同時代芸術としての映画との「対話」
5 そのほかの芸術様式との「対話」の方法
音楽
アートアニメーション
漫画

第5章 実務人世界から学ぶ僕自身の体験から
1 子どもとして学ぶ
子ども時代を振り返る
教師および反面教師としての親
戦前戦後の日本が抱えた大きなひずみ
古い下町のやすらぎと少女たち
両親とみずからの家を学び直す
2 実務から学ぶ
実務から学ぶ人はなぜか少ない
穴だらけの教育状況こそ独学に適切な場所
自分でやってみることが大切
形式にこだわらない職人芸の盲点
実務から一歩引いた視点があると、学びが大き
3 学問を学ぶ
法案を作りながら法律を学ぶ
論文の書き方や学会発表の方法を学ぶ
複数の視点、世界をもつことのメリット
4 海外体験から学ぶ
語学を学ぶ
海外の制度を参考にするにあたっては
5 友人知人、家族から学ぶ
友人知人は対話と学びの相手
一期一会と反面教師
家族から学ぶ
6 独学術実践の成果を人生にどう生かすか?
独学の目的について
社会における知識人の役割
インプットとアウトプットの関係僕自身の場合
「自分にしかできないこと」をみつけるための独学を

第6章 パースペクティヴヴィジョン獲得のための方法技術
1 自分の考え方の定点、 思想的な場所を定める
自分の場所を知る必要性
思想の三つの柱
僕自身を例にとると
2 プラグマティズム
プラグマティズムとは
哲学体系ではなく哲学的な方法論
3 独学のための37の基本的技術ヒント
01 リベラルアーツの「思想」をみる
02 人の言葉、行動から思想をみる
03 書物やリベラルアーツ一般について、その情報の質と量に注意しながら受容する
04 どのような言葉、言説、情報でも、うのみにしないで自分なりに検討する
05 情報については、常にその精度に注意する
06 みずからの固有の「生」のかたちと結び付いた独学を行う
07 リベラルアーツは「対話」するものであって、「ファッション」ではない
08 物事を構造的、包括的に把握する
09 広い意味での「批評的精神」をもち、物事を客観的にとらえる
10 客観的な事実に基づき、的確な推論を行う
11 対象の大筋を把握し、細部にとらわれない
12 相当な根拠をもった一つの客観性のある見方を構築、提示する
13 議論や思索の定点を定める
14 視点を移動しながら物事をとらえる
15 異説についても十分に検討する
16 事実、真実の相対性を知る
17 できる限り、各種のイデオロギーとは一線を画し、また、みずからのそれについては客観化する
18 レッテル貼りや二項対立図式には注意する
19 最初に結論を決めてしまうような議論には注意する
20 物事や世界の複雑さに耐える精神的な姿勢を身につける
21 「ムラ」や「タコツボ」から離れた視点を身につける
22 定義、要約、いいかえの訓練をする
23 課題の発見能力、問題の確定能力を養う
24 あたりまえの一般論で考えを終えず、その「先」を考える
25 大胆な思考実験を行ってみる
26 リベラルアーツについては、その全体像の中に位置づける
27 リベラルアーツ間の横断性、共通の普遍的な部分にも注意する
28 リベラルアーツについては、自分なりの数字評価を行ってみる
29 リベラルアーツや学問等のある分野の方法をほかの分野に転用する
30 自己を相対化、客観化して見詰める
31 一貫性のある絵を描きたいという脳の欲望、記憶の変造に注意する
32 時には、自分に都合の悪い事実についても意識して見詰める
33 主観的確信を客観的に検証する
34 ナルシシズムも、贅肉をそぎ落として客観化すれば、いい発想や作品になりうる
35 自分の中にある悪を見詰める姿勢をもち、自己と正義を同一視しない
36 理論と実践の有機的な結びつきを常に念頭に置く
37 話す、書くにあたっては、常にコミュニケーションに注意する

エピローグ

Author description 著者情報

瀬木比呂志

一九五四年名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。一九七九年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。二〇一二年明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に、『絶望の裁判所』、『ニッポンの裁判』(ともに講談社現代新書)、『民事訴訟の本質と諸相』、『民事保全法〔新訂版〕』、『民事訴訟実務・制度要論』(いずれも日本評論社、最後のものは近刊)等多数の一般書・専門書のほか、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』、『映画館の妖精』(ともに騒人社)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)があり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については、専門分野に準じて詳しい。
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