ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

著 | 酒井穣
1540円 (税込) ※1

ページ数:192ページ
発売日:2018/1/26
ISBN:978-4-7993-2214-7

Product description 商品説明

企業の取締役を務めながら20年以上母の介護をした、KAIGO LAB編集長・株式会社リクシス取締役副社長の酒井穣が「介護離職」のリスクを忌憚なく語り、仕事と介護を両立させる指針を示します。

介護とは「自立支援」です。そして自立とは、誰にも頼ることなく生きられる状態のことではありません。真の自立とは、その人が依存する先が複数に分散されており、ただ1つの依存先に隷属(奴隷化)している状態から自由であることです。
ですから介護とは、ただ1人に依存させることではありません。介護離職して親を1人の子だけに依存(隷属)させるのではなく、依存先を分散させることが真の自立支援なのです。

第1章 介護離職につながる3つの誤解
誤解①介護離職をしてもなんとかなる
介護離職をした場合、再就職は困難であり、再就職できたとしても年収は半減しかねないというデータがあります。介護離職をするなら、まず、1年以上収入が途絶え、再就職できたとしても今の半分程度になっても生きていけるだけの貯金が必要です。
誤解②介護離職をすれば負担が減る
介護離職をした人の約70%が、経済的・肉体的・精神的な負担は「かえって増えた」と回答しています。誤解①ともつながる経済的な負担、今まで協力してくれた兄弟や親族が介護から身を引いてしまう危険などをよく考えねばなりません。
誤解③子供が親の介護をすることがベスト
子供が仕事を辞め、大きな負担を伴う介護に専念することを、親は本当に望んでいるでしょうか? もしかすると親孝行になっていないかもしれません。また、入浴介助や排泄介助など身体介護を介護のプロに任せることで、介護離職を避け仕事と両立できる可能性が高まることを忘れてはいけません。

第2章 介護離職を避けるための具体的な方法
方法①介護職(介護のプロ)に人脈を作る
日本の社会福祉は、知らないと損をするようになっています。日本の介護保険の場合、どのような介護サービスが利用できるのかを理解し、こちらから利用を申請しないと、介護サービスを使うことができません。プロに助けてもらい、相談することが大切です。
方法②家族会に参加する
方法①で述べた優秀な介護のプロに出会うためにも、在宅介護をする家族の会に参加するのが役立ちます。家族会は愚痴を言い合い、情報を交換する場であり、介護の負担を減らすために有効です。
方法③職場の支援制度と仕事環境の改善に参加する
介護離職は増加する傾向があり、企業は働き手を失うことを恐れて支援制度を整えつつあります。そうした制度を充実させるために積極的に貢献していくことは企業側も歓迎するはずです。

第3章 介護を自分の人生の一部として肯定するために
指針①介護とは何かを問い続ける
介護とは「自立支援」であり、「生きていてよかった」と感じられる瞬間の創造でもあります。心身の障害を得た親にも、自分らしい人生を求めて頑張り「生きていてよかった」と感じられる瞬間を届けることができます。
指針②親と自分についての理解を深める
親が認知症になったとしても、親の人生について知っておけば、それが役立つことがある。自分という人間が生まれた背景には、どのような親の人生があったのか、できるだけ親が元気なうちに聞いておくべきでしょう。
指針③人生に選択肢がある状態を維持する
親の介護をしながら幸福になるためには、親の介護を自分でやるのか、それとも介護のプロに任せるのかが選べる状態を維持することが重要になります。選択肢がなくなると、あなたも親も不幸になります。置かれている状況に絶望ばかりしているのはよくないことです。環境そのものは変えられないとしても、私たちには絶望と戦う余地が残されているのです。

Index 目次

第1章 介護離職につながる3つの誤解 
誤解1 介護離職をしてもなんとかなる
     再就職できず、再就職できても年収は半減しかねない
     節約のために親と同居すると介護離婚するリスクが高まる
    「親の貯蓄があるから大丈夫」は間違い
誤解2 介護離職をすれば負担が減る
     介護離職をしたら介護の負担は逆に増します
     虐待してしまう可能性が高まります
     自分がすべての介護をすれば家族は幸せなのか?
誤解3 子供が親の介護をすることがベスト
     身体介護をしなければ仕事と両立できる可能性が高まる
     親の介護に専念することは「親孝行」ではない?
     親の介護を言い訳に理不尽から逃げてはいないか?
コラム 育児と介護はぜんぜん違う!

第2章 介護離職を避けるための具体的な方法
方法1 介護職(介護のプロ)に人脈を作る
     介護の負担を減らすには、介護サービスに関する知識が必要
     不都合な真実と向き合う必要がある
     とにかく1人、優秀な介護のプロに出会う
方法2 家族会に参加する
     家族会という奇跡的な成功事例がある
     セルフヘルプ・グループにおける「わかちあい」
     特に男性には家族会に参加してもらいたい
方法3 職場の支援制度と仕事環境の改善に参加する
     企業は介護離職を恐れはじめている
     介護と両立しやすい仕事の特徴を知り、評価・改善に関わる
     法定の介護休業制度があっても長期の休みはとらない
コラム 介護離職の決断を相談しているか?

第3章 介護を自分の人生の一部として肯定するために

指針1 介護とはなにかを問い続ける
     「生きていてよかった」と感じられる瞬間の創造
     中核症状と周辺症状の違いを理解し、周辺症状に挑む
     社会福祉の理想であるノーマライゼーションに参加する
指針2 親と自分についての理解を深める
     認知症を覚悟しておく必要がある
     親には名前があり、その名前での人生がある
     目標のある人生を歩むということ
指針3 人生に選択肢がある状態を維持する
     介護離職をするしか選択肢がないと考える場合
     高齢者福祉の3原則(アナセンの3原則)
     シーシュポスの神話

コラム 介護によって管理職への道をあきらめるとき

Author description 著者情報

酒井穣

株式会社リクシス 代表取締役副社長。1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。TIAS School for Business and Society経営学修士号(MBA)首席取得。商社にて新規事業開発に従事後、オランダの精密機器メーカーに光学系エンジニアとして転職し、オランダに約9年在住。帰国後はフリービット株式会社(東証プライム)の取締役(人事・長期戦略担当)を経て、2016年株式会社リクシスを創業。自身も30年以上に渡る介護経験者であり、認定NPO法人カタリバ理事、プロ野球選手会顧問なども兼任する。過去には事業構想大学院大学(特任教授)、新潟薬科大学(客員教授)なども歴任。NHKクローズアップ現代では介護関連の有識者として出演。主な著書に『新版 はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー)などがある。
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